昭和20年(1945)の少年犯罪
※この年の年齢表記は数え年のため満年齢にすると1〜2歳低くなる※
昭和20年(1945).9.8〔18歳(満16〜17歳)が米軍兵舎で窃盗して射殺〕
神奈川県大和町の米軍兵舎で、農家の三男(18)が盗みに入って米軍歩哨に射殺された。
昭和20年(1945).10.7〔17歳少年の他殺体発見〕
東京都で17歳少年の他殺体発見。
昭和20年(1945).10.8〔高女生徒、校長批判、同盟休校〕
東京都で高女生徒、校長批判、同盟休校。
昭和20年(1945).10.9〔農業高校、武道教師排斥、同盟休校〕
静岡県で農業高校、武道教師排斥、同盟休校。
昭和20年(1945).10.10〔高校生徒、改革要求同盟休校、校長辞職〕
茨城県で高校生徒、改革要求同盟休校、校長辞職。
昭和20年(1945).10.11〔農林高校、改革要求同盟休校〕
埼玉県で農林高校、改革要求同盟休校。
昭和20年(1945).10.13〔19歳ら3人組が頼まれ愛人を殺害〕
東京都千代田区の外濠で17日に死体が発見され、20日に24歳、22歳、19歳の横浜の不良3人組が逮捕。被害者は横浜市本牧でホテルを経営する女(37)の愛人(29)で、女に「男を片づけてくれ」と依頼され、13日に銀座に連れ出し、棍棒で後頭部を殴って殺害。
昭和20年(1945).10.13〔15歳ら3人組が米軍に窃盗に入り射殺される〕
東京都芝区の米軍が管理する事務室に少年(15)と仲間2人の3人組が窃盗に入り、米兵に射殺された。石鹸、タバコ、食料品を狙ったもの。
昭和20年(1945).10.18〔19歳が50人大乱闘の中で刺殺〕
千葉県香取郡の古城村で深夜に青年30人と隣村の青年20名が大乱闘を繰り広げ、棍棒、短刀、竹槍などで10数名のケガ人を出し、少年(19)が男性(21)を刺殺した。
昭和20年(1945).10.29〔師範学校、食糧難で3週間休講〕
秋田県で師範学校、食糧難で3週間休講。
昭和20年(1945).10.31〔19歳ら4人組が米軍倉庫で窃盗、撃たれる〕
東京都下谷区の米軍倉庫に、少年(19)とその仲間3人が窃盗に入り、顔面を撃たれて重傷を負った。タバコを狙ってのもの。
昭和20年(1945).11.1〔米軍兵舎へ盗み、少年グループ検挙〕
千葉県で米軍兵舎へ盗み、少年グループ検挙。
昭和20年(1945).11.4〔ケンカで18歳少年が5人を斬る〕
東京都でケンカで18歳少年が5人を斬る。
昭和20年(1945).11.5〔高校、食糧難で3週間休校〕
山形県で高校、食糧難で3週間休校。
昭和20年(1945).11.7〔青少年犯罪激化 朝日新聞引用〕
戦時中から漸増傾向にあった青少年の犯罪は、終戦後、軍需工場の解体、軍人復員などによる青少年の大量街頭氾濫とともに激化の一途。警視庁では、この対策として刑事課を一挙に300余名増員し取り締まりと指導に万全を図る。警視庁管下における最近の事件例をあげると、
▽国民学校、中等学校生徒による犯罪の増加――立川市国民学校6年生他1名は入浴の帰途、友人宅の壕見物をした。この時入口が開放してあるのを見て盗心を起し、数回にわたり、夜間ロウソクを持って壕荒らし。
▽芝区内の商業校生は友人5名と学業を怠けて上野公園を根城に浮浪し、金銭に窮しては防空壕荒らし。
▽親の教唆による食料品窃盗――浅草区Aら4名(いずれも13、14)は国民学校の倉庫に侵入、公共用貯蔵物資の缶詰、乾パンなど数個ずつ窃盗したのに味をしめ、8回にわたり206缶、115袋を窃盗、自宅に運んだが、家族は制止するどころか、盗品を入れる袋をつくって与えたり、「大丈夫か」「もう缶詰はないか」など催促、教唆していた。
▽集団犯罪の台頭――神田組(住所不定、工員ら7名、いずれも18歳、うち女1名)、銀座組(住所不定、無職男ら11名、18歳から23歳、うち女4名)、成田組(住所不定4名、17歳から21歳)、これら3組22名の不良集団は神田神保町ら数ヵ所にアジトを持ち、男は窃盗、女は駅待合室、便所等で置き引き。
▽強盗犯の増加――住所不定の船員ら4名は世田谷区内で果樹園を荒らし、番人に発見されると、所持していた日本刀で乱闘、番人の木剣を切り落して逃走。犯人らは、横浜の藷(いも)泥棒が殴殺された事件に刺激され、最初から強盗を働く用意をしていたもの。
(朝日新聞11・7)
昭和20年(1945).11.7〔20歳(満18〜19歳)ら2人組が内務大臣を襲う〕
東京都霞ヶ関の内務省5階会議室前で、男2人(26,20)が堀切内相を海軍ナイフで切ろうとして護衛の者にすぐに捕まった。戦災者の救済活動をしており、上野の戦災浮浪者救済を陳情し、現場視察を強要しようとして襲ったもの。
昭和20年(1945).11.28〔少年含む6人組強盗検挙〕
神奈川県で少年含む6人組強盗検挙。
昭和20年(1945).12.10〔17歳が強盗殺人して10年後に自供〕
東京都の国鉄鴬谷駅ホームで夜10時、少年(満17歳)が会社取締役(50)をナイフで刺殺、オメガの腕時計や千円入りの財布を強奪して逃走した。風俗店に行く金を欲しかったための犯行。
少年はその後窃盗で4回逮捕されて合計で7年間も刑務所に入ったが、強盗殺人は発覚せず迷宮入りとなっていた。昭和30年8.6に煙草8百円相当を盗んで逮捕され、取り調べの刑事の温情に感じ入り、まじめな公務員だった父親のことも想い出して「死刑になっても生まれ変わりたい」と自供したもの。
昭和20年(1945).12.19〔18歳が米軍基地でMP殺害し死刑〕
北海道札幌市の米軍基地で深夜2時、少年(17,18)3人が侵入して倉庫から物資を盗もうとして米軍MPに捕まったが、田村勝則(18)がMPを銃剣で刺殺して逃走、23日に逮捕された。少年保護更正施設に3人とも窃盗で入っており、施設を抜け出して数回この米軍基地で窃盗を働いていた。
翌年1.23に米軍の軍法会議で田村は死刑確定、5.17に東京の巣鴨プリズンで絞首刑執行。17歳と18歳は沖縄での強制労働30年となった。
昭和20年(1945).12.22〔警視庁、戦後初の”不良狩り”〕
東京都で警視庁、戦後初の”不良狩り”。
昭和20年(1945).12.24〔17歳元特攻隊員ら3人組が辻強盗〕
東京都浅草で、少年をアイクチで脅し、オーバー、短靴を奪ったのを始め路上強盗4件、370円を稼いでいた「エンコの3人組」のうち、予科練出の元特攻隊員(17)と少年(19)が捕まった。この年の銀行員大卒初任給80円。
昭和20年(1945).12.25〔青年団員50名、「防犯決死青年隊」結成〕
東京都で青年団員50名、「防犯決死青年隊」結成。
昭和20年(1945).12.27〔19歳ら3人組が強盗4件、たかり8件〕
東京都八王子で、匕首で脅して老人(72)ら一家7人を縛り上げ1000円強奪するなど、強盗4件、たかり8件を働いていた3人組(22〜19)が捕まった。19歳は盗んだ士官学校卒業証書を持って士官候補生と詐称していた。この年の銀行員大卒初任給80円。
昭和20年(1945).12.27〔警視庁、第2回”不良狩り”328名検挙〕
東京都で警視庁、第2回”不良狩り”328名検挙。
昭和20年(1945).12.28〔女の赤ちゃんの死体遺棄〕
東京都で女の赤ちゃんの死体遺棄。
昭和20年(1945).12.28〔少女に暴行した少年グループ逮捕〕
東京都で少女に暴行した少年グループ逮捕。
昭和20年(1945).12.29〔19歳元海軍軍属ら13人組強盗団〕
東京都葛飾区の農家に4人組が侵入し、家人を脅して600円、米1俵半、もち米1升、衣類30数点を強奪。元海軍特攻隊員(24)、元陸軍特攻隊員2人(24)、元海軍軍属(19)などグループ13人が捕まった。14件の強盗。
※タイトルと本文が同じ短いデータはすべて「
〔年表〕子どもの事件 1945-1989
」山本健治 柘植書房より引用したもの。※
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『戦前の少年犯罪』 目次
1.戦前は小学生が人を殺す時代
2.戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
3.戦前は親殺しの時代
4.戦前は老人殺しの時代
5.戦前は主殺しの時代
6.戦前はいじめの時代
7.戦前は桃色交遊の時代
8.戦前は幼女レイプ殺人事件の時代
9.戦前は体罰禁止の時代
10.戦前は教師を殴る時代
11.戦前はニートの時代
12.戦前は女学生最強の時代
13.戦前はキレやすい少年の時代
14.戦前は心中ブームの時代
15.戦前は教師が犯罪を重ねる時代
16.戦前は旧制高校生という史上最低の若者たちの時代
少年犯罪データベース
・
13歳以下の犯罪
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異常犯罪
・
戦前の少年犯罪
少年犯罪統計データ
・
少年の殺人統計グラフ
・
少年のレイプ統計グラフ
・
親殺し統計グラフ
子どもの犯罪被害データーベース
○
管理人メールアドレス
間違いなどありましたらご教示ください。
主要参考文献
「
〔年表〕子どもの事件 1945-1989
」
「
戦前の少年犯罪
」
「
戦後死刑囚列伝
」
「
新聞集成昭和史の証言
」
「
新聞集成昭和編年史
」
「
日本の精神鑑定
」
「
日本長期統計総覧
」
「
年表 昭和の事件・事故史
」
「
昭和史全記録 1926〜1989
」
「
値段史年表 明治・大正・昭和
」
「
事件・犯罪大事典 明治・大正・昭和
」
「
20世紀にっぽん殺人事典
」
「
青少年非行・犯罪史資料1-3
」
「
教育事件・論争史資料
」
「
朝日新聞縮刷版
」
「
読売新聞縮刷版
」
「
毎日新聞縮刷版
」
「
警察白書
」
「
犯罪白書
」
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