昭和41年(1966)の少年犯罪



昭和41年(1966).1.21〔早大全共闘無期限スト突入〕
 東京都で早大全共闘無期限スト突入。


昭和41年(1966).1.22〔愛人に逃げられ、赤ちゃん放置し餓死させる〕
 東京都で愛人に逃げられ、赤ちゃん放置し餓死させる。


昭和41年(1966).1.22〔高3が主婦をレイプして殺害〕
 長野県茅野市の田んぼで、高校3年生(18)が主婦(25)を殺害、逮捕された。路上でたまたま見た主婦に乱暴しようと首を絞めて棒で殴り、失神した主婦を強姦して3千円を奪っていたもの。


昭和41年(1966).1.25〔17歳トルコ嬢が恋人の女を刺殺〕
 東京都豊島区のアパートで、トルコ嬢(17)がホステス(23)を全裸にして縛ってから20カ所を刺して殺害、逃走したが逮捕された。トルコ嬢の愛人である韓国人男性(18)が、昔の恋人だったホステスと密会していることに嫉妬したもの。トルコ嬢は15歳で熊本県の高校を中退、家出して上京、大卒初任給24,890円の時代に月20万円を稼ぎ同棲していた男に貢いでいた。東京地裁は懲役3〜6年の不定期刑判決。


昭和41年(1966).1.25〔18歳アベックが運転手を刺殺〕
 神奈川県中郡で、無職少年(18)と無職女子(17)がタクシー運転手を刺殺、逮捕された。心中するつもりで熱海に行ったができず、「何かでかいことをしよう」と自動車強盗を思いつき、2人でめった刺しにして3千円を奪ったもの。勤め先で知り合い同棲していた。少年は成績はよかったが飽きっぽく高校を中退、職場を転々としながら傷害で少年鑑別所にも入所していた。


昭和41年(1966).1.26〔結婚反対され一家殺人、16歳少女連れ去る〕
 新潟県で結婚反対され一家殺人、16歳少女連れ去る。


昭和41年(1966).1.26〔20歳ニートが父親殺害して強盗偽装〕※参考
 神奈川県横浜市の自宅で、無職男(20)が会社社長の父親(58)の頭を31回もカナヅチで殴ったうえに首を絞めて殺し、強盗に襲われたように偽装工作、発覚して逮捕された。


昭和41年(1966).1.26〔53歳高校教師が家庭裁判所で2人殺害〕※参考
 福岡県福岡市の福岡家庭裁判所で、筑紫丘高校教師(53)が元妻(38)を包丁で刺殺し、留めようとした妻の姉(40)も刺殺、その場で逮捕された。2年前に結婚したが、夫の暴力ために2ヶ月前に離婚、元妻は慰謝料請求を家庭裁判所に申し立てていたもの。


昭和41年(1966).1.27〔生活保護の母子家庭、冷蔵庫ぜいたくと言われ心中〕※参考
 大阪府で生活保護の母子家庭、冷蔵庫ぜいたくと言われ心中。


昭和41年(1966).1.31〔高1女子が校舎に放火〕
 東京都杉並区の都立高校が朝4時ごろ放火により全焼。犯人は同校の高校1年生女子(16)で、試験の中止を狙ってのもの。中流家庭で、両親は共稼ぎ。兄は東大生で引け目を感じていた。


昭和41年(1966).2.2〔成人式晴着入場を断られ、人権侵害で訴え〕※参考
 栃木県で成人式晴着入場を断られ、人権侵害で訴え。


昭和41年(1966).2.5〔両親の期待する成績がとれないことを若にした放火事件〕
 中学3年生Y小年は、常に両親から勉強を強いられ一流高校への進学を期待されていたが、自分の成績が悪く、進学が困難なことを苦にし、教師と父兄との進学懇談会が開催されるに及んで、自分の中間テストの成績の悪かったことが両親に知れることを恐れ、学校準放火して懇談会を流会させようと決意して、昭和41年2月5日午前2時40分ごろM中学校に放火し、これ全焼させた。(損害約2,000万円)少年は常に両親から勉強を強いられ学校の成績を云々されることから深夜学校に忍込んでテストの正解表を盗んだり、あるいは不正手段によってテストの成績をごまかしていたが、先生に注意されてそれができなくなりその結果1月に行われた中間テストの成績も悪く、これが懇談会によって両親に知れることを恐れて思い悩んだうえこのような事件を犯したもので、両親の少年に対する期待過剰が少年の性格を異常な方向へと走らせたものと考えられる。(愛媛) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).2.5〔暴力団加盟の少年による集団脅迫事件〕
 暴力団(的屋)に加盟するO少年ら4名(18歳〜19歳)は成人構成員と共謀のうえ、昭和41年2月5日午後10時30分頃喫茶店内で、前に少年等の兄貴分にあたるK少年が木刀で脅迫したときの被害者T(31歳)等に対し「兄貴はお前らのため警察に捕まったのだから警察へ示談書を持って行け、そうでなければおれらのネタ(あいくち)が黙っていないぞ。」と申向け、被害者らをとりかこんで危害を加えるような気勢を示して脅迫した。
 少年等はいずれも中学校在学当時から窃盗、暴行などの非行を犯すなど素行が悪く、卒業後も家庭でぶらぶらするうち市内の暴力団に加盟し、夏は各地の祭礼等で露店商に従事しているもので、少年等の保護者はいずれもわが子ながらどうにもならないと全く放任していた。(北海道) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).2.12〔慶応大生が女の悲鳴に快感を覚えて引ったくり〕※参考
 東京都北区の路上で、慶応大学医学部3年生(21)が女性(24)のハンドバッグをひったくって逃走したが、女性が追い掛け警官によってすぐに逮捕された。引ったくりをすると女性が悲鳴を上げるのがおもしろくてやったので金が欲しいのではないと自供。


昭和41年(1966).2.12〔中2が赤ちゃん誘拐〕
 愛知県海部郡で、中学2年生(15)が民家に侵入して男の赤ちゃん(生後8ヶ月)を誘拐、走って逃走したが、母親(23)の叫び声で近所の人が6百メートル追い掛けて赤ちゃんを無事取り返した。赤ちゃんを名古屋市内に置き去りにして驚かせてやろうとしたと自供。他の家に脅迫状を届けたこともあった。


昭和41年(1966).2.13〔19歳女子短大生が学校に連続放火〕
 静岡県立静岡女子短大2年生(19)が、昨年から校舎に4度放火、休校にはならなかったため、休校させようと脅迫状も送付していた。成績が悪く卒業できないかもしれないと思い詰めたための犯行。13日にキセルで捕まった際に自供。


昭和41年(1966).2.13〔17歳ニートがピストルで3人殺傷〕
 京都府京都市東山区の路上で夕方6時過ぎ、無職少年(17)が巡査(51)の背中を刺し6ヶ月の重傷を負わせてピストルを奪った。6時40分に1.5キロ離れた自宅裏の民家に侵入、いきなり主婦(33)を射殺、10分後に8百メートル離れた民家で叔母(32)にも無言で発砲して重傷を負わせ逃走した。
 2千3百人の警官を動員したが発見できないため、2.14の11時30分に少年としては異例の公開捜査となって氏名と顔写真が公表され、母親(40)が涙ながらにテレビで訴えて、20キロ離れた京都府綴喜郡の派出所で夕方6時過ぎに逮捕。2人から冷たくされたのを恨んで、殺すために肉切り庖丁を盗んだがピストルのほうが確実と警官を襲ったもの。
 定時制高校を中退してから仕事も続かず自宅に引き籠もり、ノイローゼで精神病院に入院しており、睡眠薬自殺を3回試みている。内気でおとなしい性格だった。


昭和41年(1966).2.22〔高2が殴られた仕返しに教師を刺す〕
 福岡県田川市の県立高校で、高校2年生(17)が教師を出刃包丁で刺し、2週間の怪我を追わせ現行犯で捕まった。授業中に騒ぎ、怒った教師に殴られ20分にわたり投げ飛ばされたりしたのを恨んでのこと。僧侶の二男。非行歴はなく、成績は普通。


昭和41年(1966).2.25〔17歳の無職少年5名の「アイビー・グループ」による連続恐喝事件〕
 S少年らは一定の住居も職業も持たない、いわゆる町の不良であるが、町をはいかいしているうち暴力団M組の構成員Mと知りあいこれを中心として「アイビー・グループ」を作り、主として高校生を狙って、昭和41年2月25日午後5時ごろF駅構内を帰宅途中のA少年ら6名を呼びとめ、「2、3日中に2,000円ずつ作ってNレストランに持ってこい。」と申向け、これに応じないときはどのようなひどい目に会わされるか知れないと畏怖した少年らから現金10,000円を喝取したほか、約6か月の間に60件にのぼる恐喝をはたらき、列車通学の高校生から恐れられていた。
 S少年らはいずれも強姦致傷、窃盗、銃刀法違反、暴行等の非行歴を有し、家庭環境はいずれも両親健在でありながら監護能力を有せず、「刑務所に入れてやってくれ。」と申しでる始末であった。
 また、61件にのぼる恐喝被害者がいずれも報復を恐れて届出をしなかったことが、6か月もの長期にわたってのグループの犯行を容易にしていた。(福岡) 警察庁「少年非行の実態」引用。





昭和41年(1966).3.1〔高1がいじめの仕返しのため同級生を刺殺〕
 大分県佐伯市の私立高校で、自習中に高校1年生(16)が同級生を刺殺した。日ごろ被害者からいじめられ、その日も乱暴を受けたため、休み時間にナイフを取りに自宅に戻って仕返ししたもの。


昭和41年(1966).3.10〔幼女が殺害され脅迫状 清美ちゃん殺し〕
 京都府京都市東山区で、小学2年生の女の子(8)が塾の帰りに行方不明となり、3.12に川で絞殺死体が発見された。3.14に脅迫状が届き、警察はいたずらだと発表したが、「いたずらではない。その証拠を同封する。今こそ思い知れ」と殺害した時に取った服のボタンを送りつけてきた。
※犯人が捕まったかどうかご存じの方はご教示をよろしく。


昭和41年(1966).3.16〔高3が警世家気取りで放火〕
 山形県の山形駅近くの倉庫が深夜に放火で半焼。犯人は青森県弘前市の高校3年生(19)。中学ではトップの成績だったが高校では落第して、哲学書を読みあさって家出し、毎日図書館に通いながら食べ物を盗んで暮らしていた。持参していた手帳には警世家よろしく、ニーチェの言葉を引用したり、教育問題への考察を展開していた。


昭和41年(1966).3.17〔中2が肥満を苦に自殺〕
 広島県佐伯郡の運送業の5男、中学2年生(14)が首吊り自殺をした。友人から「デブ」とからかわれるのを気に病み、通信販売のやせ薬を飲むなど、ノイローゼ気味だった。前日からの修学旅行にも不参加。


昭和41年(1966).4.1〔中3が受験勉強の鬱憤晴らしに通り魔〕
 岡山県岡山市南方の路上で、中学3年生(15)が女子店員(27)の腰を切り、10日間の怪我を負わせた。昨年11月から若い女性5人に対しても行なっていた。中学での成績は上位でスポーツも得意、明るい性格で、県立高校に合格していた。


昭和41年(1966).4.1〔ろう学校卒業生がつくった番長グループ〕
 在校当時から粗暴性の強かったU少年(19歳)ら3名は、小づかい銭をかせぐために、ろうあ者だけのグループをつくって会費をとることを共謀、昭和41年1月から出身校であるAろう学校の2年生で腕力のつよいK少年(16歳)を番長に指名してむりにグループに加入させる等、在学生、卒業生22名を強制的に加入させた上4月1日J食堂で結成式をあげて以来、在校生から毎月500円、卒業生からは毎月1,000円をおどしとり、集めた金3万円余をU少年ら3名だけで費消していた。さらに校内の不良グループについて警察が調査をはじめたことを知るや、学校がつげ口したものと激昂しU・Iの2名が職員室に盗んだ切出しナイフを持って押しかけ、教師に対して切りつけ1週間の加療を要する傷害を与えた。
 本件は連帯感のつよいろうあ者の間に粗暴なグループを作って金銭をまきあげようとした特異な例である。(埼玉) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).4.9〔13歳が主犯の集団レイプグループ〕
 東京都墨田区で少女24人に集団レイプをしていた23人の少年グループが捕まった。高校2年生(16)と中学1年生(13)の兄弟が主犯で、昨年夏から兄弟が住むマンションに「テレビを見に来ないか」と女子高生らを誘って乱暴を繰り返し、「週刊誌に売るぞ」「写真を撮っている」と脅していたもの。
 兄弟の両親は昨年離婚、バー経営の母親が勤めに出る夜はマンションを好きに使え、また大卒初任給24,890円の時代に月10万円のこづかいをもらっていた。仲間もすべて豊かな家庭で有名私立高校に通っている16歳までの少年だった。7台の自動車を盗んでドライブも楽しんでいた。


昭和41年(1966).4.16〔中3女子6人が集団リンチ〕
 大阪府大阪市東淀川区の中学校で、中学3年生女子(14)が同学生の女子グループから校内で4回もリンチを受けていたことが、被害者の母親の訴えで明らかになった。母親がグループの3人の家に理由を問い質したところ、その日の夕方にグループ6人が被害者宅に押しかけ、母親に抗議していた。


昭和41年(1966).4.18〔18歳の当たり屋少年が慰謝料取れぬと殺人〕
 大阪府大阪市生野区の路上で、無職の少年(18)が男性(24)の頭を轢いて殺害した。被害者の運転する車の前に飛び出し、慰謝料を出せと脅迫。その後被害者を殴り殺し、交通事故に見せかけるために轢いて腕時計とラジオを奪っていた。犯人の父は韓国人、母は日本人。粗暴な性格で、4年前に窃盗で少年院に送られていた。


昭和41年(1966).4.27〔カギっ子小学生グループの連続自転車窃盗〕
 H小学校6年生のI少年(11歳)は同級生であるK少年とその弟のN少年との3人で、昭和41年4月27日午後3時ごろ商店の前に無施錠のまま置いてあった自転車1台、時価8,000円相当を窃盗したほか、同じ日の午後3時30分ごろにも無施錠のままの自転車2台、つづいてMデパートで玩具自転車2台を盗み、さらにデパートのスポーツランドで遊戯機についている金庫をこじあけようとして発見された。
 少年らはいずれも保護者共稼ぎの、いわゆる鍵っ子であるが、両親のいない家庭に帰る気がなく、市内盛り場をあそび回っているうち盗みを覚え、次第に大たんになって本件非行を犯したものである。(北海道) 警察庁「少年非行の実態」引用。





昭和41年(1966).5.9〔18歳がこまどり姉妹と心中図る〕
 鳥取県倉吉市の市福祉会館で公演中の舞台で、農業手伝いの少年(18)がこまどり姉妹の並木葉子さん(26)を刃物で刺し、1ヶ月の重傷を負わせた。心中を図って、自身も舞台上で腹を刺し1ヶ月の重傷。これまで何度も結婚を迫る手紙を出していた。性格はやや内向的だが、ごく普通の少年だった。広島高裁で2〜5年の不定期刑となったが、1年後に首吊り自殺。


昭和41年(1966).5.21〔19歳工員が通り魔殺人〕
 神奈川県横浜市の路上で深夜、工員(19)が溶接工の青年(26)を刺殺。「でかいことをして見せる」と云うと同僚に嘲笑され、意気地なしでないことを証明するため誰でもいいから殺そうと計画したもの。
 この事件を元に、木下惠介監督の映画『衝動殺人 息子よ』が製作された。


昭和41年(1966).5.30〔私立大山岳部、富士山で“死のシゴキ"逮捕〕
 東京都で私立大山岳部、富士山で“死のシゴキ"逮捕。


昭和41年(1966).5.31〔16歳ニートが猟銃強盗殺人〕
 兵庫県神戸市で夜11時過ぎ、無職(16)がタクシー運転手(34)を射殺、すぐに自首した。5.29に東京都港区の自宅から猟銃を持って家出、遊んで金がなくなったため強盗を計画したもの。窃盗で保護観察中。神戸地裁は懲役10年の判決。


昭和41年(1966).5.〔校内で10円玉を投げて表裏をあてると博を行なっていた事犯〕
 A高校の2、3年生徒219名とB高校の2、3年生徒124名が昭和40年9月ごろから昭和41年5月までの間、教室内などにおいて、数名一組となって、金銭をかけ、10円硬貨を投げて表裏をあてると博行為をやっていた。かけ金は1回200円から300円程度であったが多数の生徒が関係しており、また勝負をしているときには廊下に見張りを立てるなどして先生が巡回して来る際の防衛手段も講じており、単純な遊びとして放任できないようなものであった。(福岡) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).6.4〔賭博の高校生200余人を補導〕
 福岡県の福岡署は4日までに福岡市内の私立高校を捜査、3年生125人を賭博遊びで補導、博多署でも私立高校の100人を補導した。10円玉の裏表を当てるもの。


昭和41年(1966).6.5〔16歳が母親絞殺〕
 東京都品川区の工員(16)が無断欠勤して4日に福島県白河の実家に帰り母親(38)に「寂しくて嫌になった。一緒に暮らしたい」と言ったが反対された。腹を立てた工員は翌日未明に寝ている母親の首を絞めて殺害、東京に戻って4日間部屋にこもっていたが9日に自首してきた。


昭和41年(1966).6.10〔私立高校、バイクの2人乗りで退学させる〕
 熊本県で私立高校、バイクの2人乗りで退学させる。


昭和41年(1966).6.13〔中3が結婚待てず心中〕
 長野県茅野の蓼科高原の山林で、東京都葛飾区の鉄工場経営者の三男(15)と、自動車修理業の長女中3年生(14)が、青酸カリ入りコーラを飲み、心中した。「5年も待っていられないわ。どこか遠い所に連れて行って頂戴」「遠い所に行こう。こんなことで君の一生を終わらせるのは、残念で申し訳ない」などと綴った手紙が残されていた。少年は定時制高校を中退後、家の工場に勤務、近所でも評判が良かった。中3は文学少女で、クラスのリーダー格の美少女だった。


昭和41年(1966).6.16〔医科大学生、クロロホルム通り魔〕
 東京都で医科大学生、クロロホルム通り魔。


昭和41年(1966).6.16〔50歳が幼女殺人〕※参考
 山口県徳山市の自宅で、大工(50)が近所の小学2年生の女の子(8)を絞殺、屋根裏に死体を隠したがすぐに逮捕。いりこを勝手に食べたのでカッとしたと自供。殺人や強姦で前科6犯。


昭和41年(1966).6.17〔脅迫状を郵送して現金を喝取した女子中学生〕
 小学校教師を父に、役場吏員を母に持つ中学3年のS少女は、昭和41年6月17日午後0時ごろ、近所の町会議員Hの妻あてに「今夜7時半に火の見やぐら下の掲示板のところに8,000円置け、もし置かないとあたたの家が18日か19日の夜燃えるでしょう。」と書いた脅迫状を郵送し、畏怖した被害者に同夜7時40分ごろ現金2,000円持参させ、被害者が立去った直後これを拾って逃げようとしたが、届出により張込んでいた捜査員に逮捕された。(埼玉) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).6.18〔18歳ら四人組がアベックを監禁ドライブ〕
 神奈川県横浜市内の運送会社の運転助手(28)と運転手(18,19,20)の4人は、道端に車を停めて話していたアベック(20)を脅して乗り込み、約500キロの監禁ドライブを敢行。ガソリン代はアベック2人から金を奪って支払っていた。犯人らは検問に引っかかり捕まった。


昭和41年(1966).6.23〔薬科大学生、小学生2人に人体実験〕※参考
 福岡県福岡市の福岡第一薬科大学校庭で、4年生(22)が小学3年生(9,10)2人に自分が研究している痔の座薬を飲ませた。高熱が出て入院して逮捕。


昭和41年(1966).6.23〔大阪の小学校、こども銀行の預金で利ザヤ稼ぎ〕
 大阪府で大阪の小学校、こども銀行の預金で利ザヤ稼ぎ。


昭和41年(1966).6.27〔高3が母親刺殺〕
 神奈川県川崎市の高校3年生(18)が出刃包丁で母親(49)を刺し殺した。自衛隊への入隊を希望していたが、大学に進学するよう言われて反対されたため。


昭和41年(1966).6〔被害女性にも責任 少年の性犯罪 青少年非行・犯罪史資料引用〕
 少年の性犯罪は、被害者の女性にもかなりの責任がある―と警察庁が性犯罪少年の実態調査から結論。これは6月中に全国で検挙、補導されたわいせつ罪、婦女暴行罪に問われた少年682人、被害者の女性678人について行なわれたこの種で初めての調査。それによると被害女性の46.3%が加害者と顔見知りで、婦女暴行罪は16歳以上、わいせつ罪は10歳未満の少女が多い。突然襲われた女性が44%なのに対し、散歩やドライブに誘われるなど前交渉があったのが半数という調査結果が出た。
(青少年非行・犯罪史資料 刊々堂出版社 465P)





昭和41年(1966).7.7〔16歳工員が父に更生を訴え自殺〕
 大阪府堺市のアパートの自室で少年工員(16)がガス自殺をした。定職につかず、遊び歩く父に対して更生を願ってのもの。成績は良かったが高校に進学せずに製作所に勤務、父によく尽くしていた。


昭和41年(1966).7.11〔19歳工員が鑑別所行き願い通り魔〕
 茨城県日立市の路上で会社員(33)が刺され、10日間の怪我を負った。犯人は同市の少年工員(19)で、「月賦に追い込まれる生活が嫌になり、人を殺せば鑑別所に入れると思った」と自供。仕事は休みがちで、素行は悪かった。


昭和41年(1966).7.12〔少女を主犯とした6人グルーブによる連続恐喝事件〕
 母親の溺愛から放縦となり、家出して身を持ちくずしたM少女(19歳)は、左肩にぼたんの入れ墨をして姉御気取りで成人2名、少年3名を仲間にひき入れ、同少女がリーダーとなって、昭和41年7月12日本午後2時40分ごろ下校途中のT少年(17歳)に因ねんをつけて無理にK駅で下車させ、駅裏の山中に連れ込んで「貴様ガンつけしたな。相手が悪かったよ、逃げようたってダメだ。落し前よこしな。」と申し向けて脅迫、同少年を畏怖させて腕時計1個(1万円相当)を喝取したほか、同年6月26日から7月12日までの17日間に強盗3件、恐喝45件、詐欺2件を敢行していた。
 M少女は開発会社の重役の一人娘として母親が溺愛する家庭に育ったが、このため次第に性格が放縦となり、中学2年のときには家出して男と同棲したこともある。このことから父母に叱責されて反抗的となり中学卒業後家出し、再度男に捨てられてからは一層自暴自棄となり、生来の大胆、粗暴性から本件を敢行するに至ったものであるが、捜査員に対して父親は体面を恥じて多くを語らず、母親も現在の娘の居所、行状について全く知らない状況であった。(神奈川) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).7.27〔19歳ら二人組がレイプ未遂〕
 静岡県駿東郡の国道脇で少年含む二人組が少女に乱暴しようとしたが、少女(17)は隙を見て逃げ無事だった。二人組は埼玉県の運転手(21)と農業手伝いの少年(19)。少女は同県浜松市でもう一人の少女(17)と共に二人組の運転するトラックに「乗せて」と言って乗り込んでいた。


昭和41年(1966).7.28〔18歳が空巣見られ少女を絞殺〕
 大阪府布施市の民家に昼間、近くの飯場の少年労務者(18)が盗みに入ったが、留守番の少女に見られたため絞殺。死体を飯場の床下に埋めようとしているところを仲間に見つかり自首した。少年は福岡県出身で、中学時代に盗みで少年鑑別所に送られていた。


昭和41年(1966).7.28〔中3が強盗殺人〕
 大分県日田郡中津江村の山中で、鮮魚行商の女性(52)が撲殺された。犯人は同村の中3年生(14)。挨拶をしたが冷たくされ、かっとなって石で殴り殺し、売上金2800余円を奪った。義理の父と実母は2人とも日雇いで、家庭的には恵まれてなかった。


昭和41年(1966).7.29〔19歳日大生が都はるみの妹刺傷〕
 東京都港区で、日大法学部2年生(19)が都はるみ(18)の自宅に押しかけ、都はるみの妹(16)に切りつけて2週間の傷害を負わせて逃走、8.1に逮捕された。熱狂的ファンで、これまでもたびたびやって来ていたが、家族がドアチェーンをしたまま応対することに腹を立て、10日前に包丁を買って復讐にきたもの。「入れてくれないのが悔しくて。後のことは何も考えなかった」と自供。


昭和41年(1966).7.〔幼児および小学生を対象に連続100数回にわたりわいせつ行為をしていた事犯〕
 大阪市内の中学生N少年(13歳)は、テレビ、映画等の男女抱よう場面あるいは雑誌のヌード写真等に刺激され、性に対する異常な関心を高め、昭和41年2月から同年7月までの間に、比較的保護者の監視の行き届かない団地の小学校低学年の少女および幼児100数名に対し「うさぎを見せてやる」等と云って付近の植込みなどに誘いこみ裸にして、手指でその陰部をもて遊びわいせつ行為をしていた。少年は幼児期に母と死別し、父に甘やかされて育てられたが、家庭の淋しさから、テレビや映画で気をまぎらわしあるいは盛り場を遊び歩いて映画の看板、スチール写真などを見ているうちに異性に対する異常な関心が高まりし次第にこのような行為をするようになったものと思われる。(大阪) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).7〔バー勤め少女の実態 青少年非行・犯罪史資料引用〕
 バー、キャバレーなど風俗営業に勤める少女たちの多くが、親の無関心のために、悪質業者や暴力団のエジキになり、保護制度も行きとどいていない、と警察庁が指摘。これはこの7月、同庁が風俗営業の一斉取り締まりで救出した836人の少女(うち少年31人)について実態を調査しての結論。それによると―――。風俗営業法では、17歳以下の少女は客席での接待を禁止されているにもかかわらず、708人の少女が補導され、なかには14歳以下のウェートレスが22人。
 暴力団のキバにかかっているもの約18%。借金のカタに売られたり、組員と同棲したりで、なかには売春を強要されるものも相当数いた。
 売春を行なっていたもの16%(128人)、勤めて間もないものは少ないものの、一年以上勤めたものの41%が売春をしていた。
 就職した方法は、自分から直接申し込んだり、友人、知人の紹介がほとんど。風俗営業に従事する危険がわかっていないことがわかる。
 過去に非行などがあり、家庭裁判所から保護処分を受けていたものは14.7%(123人)と多い。このうち58人は家出しており、保護どころではない。17歳以下と知りながら雇いいれた営業主は1262人。
(青少年非行・犯罪史資料 刊々堂出版社 466P)


昭和41年(1966).7〔トバクふえ少年のヤクザ化傾向 青少年非行・犯罪史資料引用〕
 “バクチ全盛時代"の反映で、少年のバクチがこの年の上半期目立っている。6月末までの集計では、補導された少年は648人で昨年より80%増。警察庁では「これは氷山の一角。少年トバクは全国的に広がっている。他の犯罪と違って補導されても罪悪感がない点に問題がある」といっている。それにしてもヤクザ犯罪のトバク、婦女暴行、暴行傷害、この三つがともに増加しているところをみると、“少年ヤクザ化傾向"との見方もあながちウソではない。不良映画や雑誌の影響とみられるが、同庁では積極的な浄化策を進める方針。
(青少年非行・犯罪史資料 刊々堂出版社 467P)


昭和41年(1966).8.1〔19歳が愛人と共謀し元トルコ嬢を絞殺〕
 東京都新宿区坂町のアパートで午前3時、無職少年(19)とその愛人の元トルコ嬢(27)が侵入し、就寝中の元トルコ嬢の韓国人(23)を絞殺した。金品を奪い遊び歩いていたが、8.1に自首した。少年は度々被害者から無心、さらに手足を縛って金品を奪ったこともあった。


昭和41年(1966).8.9〔生後1年脳性マヒの子を捨て死なす、両親逮捕〕※参考
 大阪府で生後1年脳性マヒの子を捨て死なす、両親逮捕。


昭和41年(1966).8.9〔19歳が警察装い銃を騙し取る〕
 神奈川県横浜市中区の元工員の少年(19)が、8日に自衛隊の三尉と名のり「銃が不正流失しているので調査のため」と警察を騙し銃砲所有者台帳を閲覧、9日に横浜市中区の会社員や会社社長宅などから「警察の者だが調査のため貸してくれ」とライフル銃2丁と実弾40発を騙し取ったが、11日に自首した。
 父母とは死別して祖父母に育てられ、窃盗事件により高校中退、3度盗みを働き少年院に送られていた。「綾小路利麿」と名のり華族の二男と称し、近所でも礼儀正しい良い人と評判だった。ガン・マニアだったが非行歴のため銃所持も自衛隊入隊もできずに犯行に及んだもの。「勝利かしからずんば死あるのみ。私のような人間のクズは警官のピストルで撃たれるのが本望です。銃器が大好きな私。弾丸で死ねば絞首刑より幸せです。私は精神異常だと思います」という手記を書いていた。


昭和41年(1966).8.17〔大学生らによる輪姦(強姦致傷)事件〕
 C大学2年生のN少年(19歳)は中学時代からの仲間であるR大学2年生のT少年ら6名と、通行中の婦女をドライブに誘って輪姦することを共謀し、昭和41年8月17日午後7時ごろ市内を通行中の店員Y子(16歳)ら3名を呼びとめ、コーヒーをおごって安心させたうえドライブに行こうと誘って河原に連れだし、7人でとりかこんで輪姦しようとしたが2人は逃げ出したので、Y子だけを交互に姦淫、処女膜裂傷治療10日間の傷害を与えた上、少年らは東京方面に逃亡する際犯行をくらますためY子を強制的に家出させ同行したものである。
 少年らは中学時代からのグループで非行性はとくに表面化していなかったが、1人ではできにくい非行を集団の力で行なおうとする現代少年の心のひずみが端的にあらわれたものであり、また、ドライブという魅力に不安を抱かず安易に同調した被害者の態度にも問題が含まれているといえよう。(京都) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).8.24〔高3が甲子園に行けず自殺〕
 群馬県月夜野町の高崎商業高校3年生(17)が、自宅で首吊り自殺した。甲子園出場をかけた決定戦で敗れ、原因が自身の打撃不振によるものと悩んでのこと。農家の三男で4番の強打者だった。中・高校を通じて休みなく練習に励んでいたが、決定戦敗退後、初めての夏休みで単調な生活になり、空虚感・虚脱感が高じたのではと見る向きもある。


昭和41年(1966).8.24〔高3がタクシー強盗〕
 熊本県飽託郡で深夜にタクシー運転手(46)が強盗の被害にあった。犯人は熊本市の名門県立高校の3年生(18)。車を奪うもすぐに水田に突っ込み中破し、車を捨てて逃走。8キロほど離れたところで捕まった。勉強の遅れと受験の影響で睡眠薬を常用。そのせいで発作的に犯行に及んだらしい。


昭和41年(1966).8.25〔秀才高3が民家に押し入り強盗〕
 栃木県佐野市の民家に高校3年生が押し入り、ナイフで主婦(23)を脅して金を取ろうとしたが失敗した。少年は東大志望の秀才。学校の進学コースで1、2番の成績だった。


昭和41年(1966).8.25〔73歳が幼女殺害〕※参考
 大阪府守口市で、無職(73)が小学5年生の女の子(10)を絞殺、9.17に逮捕された。家を訪ねた時に女の子の親に借りて返した2千円のことを云われてカッとしたもの。


昭和41年(1966).8.30〔中学生風の通り魔〕
 埼玉県川口市の路上で、中学生風の少年が人妻を刺して重体として逃走した。川口市では1月にも中学生風の少年が女性3人を刺傷する事件が起きていた。





昭和41年(1966).9.3〔こどもを使って当り屋、夫婦を逮捕〕※参考
 大阪府でこどもを使って当り屋、夫婦を逮捕。


昭和41年(1966).9.4〔有害図書や職場でのわい談に誘発された強姦致傷事件〕
 県内のA会社に工員として勤めているK少年(18歳)は、有害雑誌を読んだことから性に対する異常な関心を持ち、さらに職場での先輩たちのわい談に刺激されて自分も実際にやってみようと考え、昭和41年9月4日の白昼、自転車で通行中の女子中学生を林道で待ちぶせて桑畑内に引きずり込み、泣き叫ぶ被害者の首を締める等の暴行を加え、強いて姦淫した。少年は、中学2年生のころ父の部屋にあった「夫婦生活」、「結婚の医学」等の雑誌を見て性に対する異常な関心を持ち、小学生の少女2、3名にいたずらして捕導されたことがあり、中学卒集後工員として就職したが職場内でおとなたちのわい談に刺激され、さらに自分でも「平凡パンチ」、「週刊明星」、「週刊実話」等を求めヌ一ド写真等を見ているろちに、その欲望を押えきれず、このようた結果を招いたものと思われる。(長野) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).9.4〔職場のわい談に刺甘されて強姦致傷を犯した勤労少年〕
 中学侍代から婦女に暴行を加える性癖を持つE少年(18歳)は、昭和41年9月4日午後1時30分頃自転車で堤防上を通行中、やはり自転車で通行中の中学生A少女(13歳)を認めると、日ごろ職場で先輩から聞かされているわい談を思い出してこれを強姦しようと思い、先まわりして待伏せ、甘言をもって桑畑に誘い「ズボンをぬげ。」と申し向け、「いやだ、助けて。」と泣き叫ぶ少女の首をしめるなど暴行を加えた上強いて姦いんし、全治10日間の傷害を与えた。
 この少年は内向的で自制心が乏しく、中学校時代から婦女に異常な関心を持ち性的不良行為を重ねていたのに、保護者は少年の監護について全く関心がなく、有害な雑誌など読むに任せており、職場でも先輩が無思慮に露骨なわい談を聞かせ、少年の非行に一そうの拍車をかけたものと認められる。(長野) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).9.7〔21歳大学生が8年前の弟の失明恨んで一家4人皆殺し〕※参考
 北海道瀬棚郡で、北海道学園大学生2年生(21)が深夜1時に特定郵便局に押し入り、局長(42)、妻(42)、次男(16)、3男(14)の一家4人をナイフでメッタ刺しにして殺害、逃走して東京都の会社に本名で就職、9.15に逮捕された。8年前の昭和33年3月、3男が弟(当時6歳)の眼を弓矢で撃って失明させ、百万円の治療費が掛かったが裁判の結果5万円の慰謝料しか払わず恨んでいた。町の有力者で比較的裕福な町役場出張所長の長男でIQ124高校では一番の成績だったが、治療費で費用がなくなったので新潟医大進学を断念、働いて学費を稼いで2年後に進学したがほとんど出席していなかった。この年の大卒初任給24,890円。


昭和41年(1966).9.14〔18歳ら二人組が連続で空巣〕
 東京都品川区の無職(21)と渋谷区の少年(18)の2人組が、高級マンションばかりに空巣に入り、9.14に逮捕された。いずれも裕福な家庭の子弟だが、スポーツカーを乗り回すなどの遊興費が小遣いだけでは足りず、空巣を繰り返していた。


昭和41年(1966).9.15〔中3らが校内で博打を開帳〕
 兵庫県神戸市の中学3年生(15)をリーダーとするグループ28人(うち女生徒11人)が、博打を開帳していたとして15日までに全員が家裁に送られた。博打の他、教師のつるし上げ、リンチも行なっていた。博打の被害にあった生徒らは被害額を分担する共済組合の組織を作っていた。


昭和41年(1966).9.30〔16歳がニートコンプレックスから連続幼女通り魔〕
 東京都品川区の路上で、無職(16)が遊んでいた女の子(4)の下腹部をカミソリで切るなど、幼女4人に対して傷害、暴行、強制猥褻事件を繰り返し、11.26に逮捕。同様の事件がほかにも10件起きており、少年の犯行ではないかと見られている。父親は元警官の中流家庭。工員を7月に辞めて遊んでおり、「ブラブラしている自分を笑っているような気がしたので刺した」と自供。


昭和41年(1966).10.1〔16歳ニートが父親刺殺〕
 東京都荒川区の京成電鉄ガード下で、次男の無職少年(16)が父親(46)をナイフで刺し殺した。この春に中学を卒業してから遊び歩いており、3日前に家出して友人(16)の家に泊まっていたが、父親がやってきて連れ帰ろうと叱り続けるのに腹を立ててナイフで刺したもの。父親は友人の家族も非難したため、「俺の家に因縁をつけるのか」とナイフを持って友人も追いかけてきたため殺人予備罪で捕まった。


昭和41年(1966).10.11〔高1女が赤い羽根募金の欠席責められ入水自殺〕
 埼玉県三郷町の江戸川で、流山町の農家の三女、私立高校1年生の女子生徒(15)が水死体で発見された。街頭募金の責任者に選ばれたが、当日学校を欠席。その後級友から詰問され、塞ぎ込んだ高1女は6日に遺書を残し家出していた。内気で人前に出ることが苦手だった。


昭和41年(1966).10.16〔高3が殺し屋に雇われ幼女殺し〕
 茨城県日立市の鮎川橋で、私立高校3年生(18)が幼女(3)を13メートル下の橋脚台に落下させ殺害。10.22に主犯の無職(25)と逮捕された。無職男は女性(26)と駆け落ちしようとしたが、女性の長女が邪魔になり殺害を計画、50万円の報酬で高3生に殺害を依頼。幼女を連れ出し、「完全犯罪だから大丈夫だ。早く突き落とせ」と命令したもの。女性の夫(29)と2人で窃盗を働いて逮捕され、自分は8月に出所、夫はまだ刑務所に入っていた。この年の大卒初任給24,890円。


昭和41年(1966).10.21〔高2が電車内で上級生殺人〕
 大阪府堺市を走行中の南海電車内で、私立初芝高校2年生(16)が同校3年生(18)の腹をナイフで2回刺して殺害、同校3年生(17)の腹を刺して重体として逃走、深夜に自首した。下校のラッシュ時に電車に乗り込もうとして押し合いになってケンカしたもの。進学クラスで成績優秀、柔道2段だった。


昭和41年(1966).10.21〔父親が幼児を保険金殺人〕※参考
 群馬県沼田市の自宅で、保険外交員(27)が長男(5)に睡眠薬を飲ませて殺害、交通事故として届けて保険金を受け取ろうとしたが11.17に逮捕された。酒乱のため妻(33)は8.30に家出、死因に不審があると妻が警察に通報した。病気で寝たきりの長女(12)も7.12に死んでおり、そのあと長男に百万円の保険金を掛けていた。





昭和41年(1966).11.11〔女子大生5人が集団で万引き〕
 東京都千代田区内の私立女子大2年生(19と20)の5人が万引きで捕まった。この日だけでもある百貨店から2200円相当を、別の百貨店から6000円相当を万引きし、過去にも他の店で度々盗んでいた。5人の家庭はいずれも裕福で、「面白くてやった」と自供。


昭和41年(1966).11.19〔高校生同士が殴り合いの抗争〕
 東京都豊島区で日大豊山高校生6人が国士舘高校1年生24人に袋だたきにあった。14日に国士舘高校1年生が日大豊山高校生になまいきだとこずかれた。友人が18日に「誰がやったんだ」と問いつめると殴られて現金を取られた。それを聞いたクラス全員で仕返しのため日大豊山高に殴り込みをかけ、相手構わず殴ったもの。大塚駅は国電と都電に乗り換える高校生のケンカが頻発しており、今年だけでも20件を上回っている。


昭和41年(1966).11.28〔17歳の無職少年と中学生による強盗事件〕
 一定の職にもつかず、家庭でぶらぶらしていたT少年(17歳)と、怠学して家庭に寄りつかない中学3年生のM少年(15歳)は、大阪方面に遊びに行く旅費にあてる目的から、かねてから内部事情を知っている質屋に強盗に押入ることを計画、昭和41年11月28日午後8時35分ごろ、0市内のH質店に客を装って侵入、被害者夫妻に刃渡り30センチメートルの柳刃包丁を突きつけて「金を出せ」と脅迫、両名を後手に縛りあげて質蔵の中に閉じ込めたうえ、営業所内の金庫から現金73,000円および男物腕時計2個を強奪した。T少年は、粗暴的な性格で窃盗、家出の補導歴があり、M少年も窃盗、恐喝、家出の補導歴があった。また、両少年とも実母と2人暮しの生活保護受給家庭で放任ざれている状態であり、同じような境遇にある2人が意気投合して交際しているうちに、大阪の方に遊びに行くことに意見が一致したが、その旅費がないところから、費用のねん出策を相談した結果本件犯行を敢行するに至ったものである。(北海道) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966).12.4〔18歳が元の職場で強盗殺人〕
 埼玉県大里郡で、少年(18)が以前に働いていた砂利会社を夜中に訪れ、宿直の男性(64)に金を貸してくれるように言ったが拒否され、持ってきたバールで頭などを何回も殴って殺害し、現金2万2千円と通帳を強奪して逃走したが、23日に自首した。


昭和41年(1966).12.5〔17歳ら2人が元の職場で強盗放火殺人〕
 福岡県福岡市下川端町の電気店に、整備工(20)と少年(17)の2人組が押し入り、金を出せと言いながら店員2人をハンマーなどで殴り、現金21万円を奪ってストーブを倒して放火して逃走した。店員1人が焼死し、1人が重傷を負った。
 整備工は高校卒業後にこの電気店に勤めたが、セールスの失敗の穴埋めのため店のラジオを盗んで質入れして金を作ったのがばれて逮捕され少年院に2年間入っていた。その時に支店長が勝手に部屋に侵入して店から月賦で買ったステレオを持って行ったため弁償させようと押し掛けたが、支店長はおらずに店員を襲ったもの。少年とは少年院で知り合った。
 整備工は最高裁で死刑が確定したが、火を付けたのは少年で、自分は放火はしていないと再審請求を出している。


昭和41年(1966).12.9〔女子大生二人組が万引き〕
 東京都新宿駅前の洋品店で、万引きしようとした女子大生2人が捕まった。早大文学部1年生(18)と大阪学芸大養護教員養成所1年生(18)の2人。大阪の高校の同級生で、上京してから休学届けを出して約50件、300点(80万円相当)の万引きをして現金に代え、派手な生活をしていた。


昭和41年(1966).12.9〔大学生2人組、学校荒らしで捕まる〕
 東京都で大学生2人組、学校荒らしで捕まる。


昭和41年(1966).12.17〔大学生、会社社長家族誘拐を企て逮捕される〕
 山口県で大学生、会社社長家族誘拐を企て逮捕される。


昭和41年(1966).12.21〔大学生、同窓生を妊娠させ結婚を迫られ殺す〕
 佐賀県で大学生、同窓生を妊娠させ結婚を迫られ殺す。


昭和41年(1966).12.24〔18歳運転手が猟銃で友人2人を殺傷〕
 静岡県富士市で、トラック運転手(18)が中学時代の同級生のクリスマス・パーティーを猟銃で襲い、1人(18)に3発撃って殺害、1人(18)に2ヶ月の重傷を負わせ、逃走したがすぐに逮捕された。学生時代からいじめられており、この日もからかわれて、かっとなって父親の猟銃を持ち出したもの。


昭和41年(1966).12.30〔16歳ら3人組が恐喝失敗して仲間割れ刺殺〕
 東京都板橋区の路上で、溶接工(17)と塗装工(16)の2人が友人の無職少年(17)をナイフで刺殺した。3人は埼玉県北足立郡から恐喝するためにやってきたが、通行人が少なくうまくいかず、もう帰ろうと言うと無職少年が怒り出してケンカになったもの。


昭和41年(1966)..〔あん摩、マッサージ業者の児童福祉法、労騒準法、あん摩法違反事件の検挙〕
 警視庁では、昭和36年ごろから多数の児童を含む若くして、しかも目あきで客ずきのする婦女を((児童57名(家出中30名)、少年47名(家出中13名)、成人409名(家出中59名)計503名))、免許の有無を問わず、新聞広告等をもって雇い入れ、にわかあん摩等に仕立て、自己の支配下におき、都内新宿、浅草、新橋、渋谷等の旅館などに派出して、客の求めるままにスペシャルサービス(手淫行為)、本番(売春)等をさせていたマッサージ業者等(業者12軒24名、関連被疑者30名計54名)を検挙した。これら業者はまた土地の暴力団、ぐれん隊と手をにぎり、その輩下の組員を従業婦の「ヒモ」につける等して身体の自由を拘束し、業務の対価も折半または業者6〜7割を取得するなどピンハネをして私腹を肥やしていた。(東京) 警察庁「少年非行の実態」引用。


昭和41年(1966)..〔広域暴力団山ロ組系川勝組長らによる人身売買、管理売春事犯等の検挙〕
(職業安定法、児童福祉法、売春防止法、風俗営業等取締法、労働基準法違反)  大阪市西成区の通称「釜ケ崎」一帯を縄張りとする新興売春暴力団K組(人売被疑者27名)が組資金獲得のため、奈良県大和郡山市内の売春業者5名と結託して、月給10万円の支給を受け、配下の組購暴力団員を使って組織的な人売、売春ルートを形成し、家出中の児童ら(児童、3名、少年4名、成人17名計34名)を甘言で誘惑させ、それぞれ肉体関係を結んでひもつきとしたうえ、奈良、神戸、伊丹の売春業者に売春婦として売りとばし、月給、手数料、保証金の名目で.短期間のうちに約260万円の収益をあげていた(京都)。 警察庁「少年非行の実態」引用。



※タイトルと本文が同じ短いデータはすべて「〔年表〕子どもの事件 1945-1989」山本健治 柘植書房より引用したもの。※



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※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。




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『戦前の少年犯罪』 目次
1.戦前は小学生が人を殺す時代
2.戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
3.戦前は親殺しの時代
4.戦前は老人殺しの時代
5.戦前は主殺しの時代
6.戦前はいじめの時代
7.戦前は桃色交遊の時代
8.戦前は幼女レイプ殺人事件の時代
 9.戦前は体罰禁止の時代
10.戦前は教師を殴る時代
11.戦前はニートの時代
12.戦前は女学生最強の時代
13.戦前はキレやすい少年の時代
14.戦前は心中ブームの時代
15.戦前は教師が犯罪を重ねる時代
16.戦前は旧制高校生という史上最低の若者たちの時代




少年犯罪データベース

13歳以下の犯罪

異常犯罪

戦前の少年犯罪


少年犯罪統計データ

少年の殺人統計グラフ

少年のレイプ統計グラフ

親殺し統計グラフ


子どもの犯罪被害データーベース



管理人メールアドレス
間違いなどありましたらご教示ください。





主要参考文献

〔年表〕子どもの事件 1945-1989

戦前の少年犯罪

戦後死刑囚列伝

新聞集成昭和史の証言

新聞集成昭和編年史

日本の精神鑑定

日本長期統計総覧

年表 昭和の事件・事故史

昭和史全記録 1926〜1989

値段史年表 明治・大正・昭和

事件・犯罪大事典 明治・大正・昭和

20世紀にっぽん殺人事典

青少年非行・犯罪史資料1-3

教育事件・論争史資料

朝日新聞縮刷版

読売新聞縮刷版

毎日新聞縮刷版

警察白書

犯罪白書





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少年犯罪データベースが参考文献として掲載されています。



少年犯罪データベースのデータが引用されています。